フェアレディZ S30(エス・サンマル)のマンガがある事を知ったのは。nadeshiko.jp参加者のJ君に「S30は悪魔のZ!」と言われた時でした。私はフェアレディZを、女神かキューピットと思っていたので。なんてひどい事を言う奴だ!と思っていました。そして、甥に「古いフェアレディZのアニメがあるよ。」と見せてもらったのが湾岸ミッドナイトでした。





湾岸ミッドナイトの話をすると「あれは私の人生の教科書です。」と言うJ君。「あのマンガは大嫌いだ!」と言うM君。どちらも自動車大好き人間なのに極端な反応があるのです。私は、チューニングやドラテクは別として。アクセルを全開にして走っていた頃に感じた事と、似た内容に。昔の自分を重ね合わせて見ていました。




悪魔のように速く、自らの意思を持つように走り、選び抜かれたドライバーが運転するZと。ノーマルのZでは全く次元が違いますが。昔のフェアレディZを知るには。近所のオヤジの話の方が解り易いと思います。



フェアレディZ、エス・サンマルは、こんな車だったのです。
外観
4115×1630×1285(mm)のボディは小さく重量も約1t
S30といっても昭和48年前期までと後期でテールランプとダッシュボード、シートの形状が異なります。悪魔のZは初期型で私のは後期の物です。





シートに座り前を見ると、黒のダッシュボードに深く埋め込まれたスピードメーターとタコメーターが特徴的です。そして、シフトレバーの左側にある小さなレバー(チョーク)を、一杯に引きエンジンスタート。ギヤを1速に入れ加速すると。リヤタイヤ近くに座るドライバーは沈み込み、反対に長いノーズが持ち上がり。ノーマルのゴーッという排気音も手伝い。まるでジェット機が離陸するような印象で加速します。

ステアリング機構は、ラック&ピニオンで。中央付近が全く反応のない、慣れないと不思議な感じがする遊びの部分で。パワーアシストの無いステアリングは、やたら重く。据え切りが大変な車でした。駐車場等で、ハンドルを切っている際に、穴や石でタイヤの向きを変えられると。いきなりハンドルが戻され、手首が痛くなる事も度々で。腕に力を入れているもののハンドルの動きに、あまり逆らわない習慣が出来ました。そんなクセのあるステアリングでしたが。S130でパワーステアリングを選べるようになり。ATトランスミッションを選んだのに「俺、死にたくないから、パワーステアリングは付けない。」と言うほど。ラック&ピニオンのステアリングの虜になっていたのです。



取り回し
見た目通り。取り回しの楽な車ではありませんでした。重いハンドルに加え。長いノーズは、先端の下がった部分が全く見えないので「どうせ見えないんだから。」と言って勘だけで走っていました。そして、その長いノーズが邪魔になるのは。路地から見通しの悪い幹線道路に出る際では、左右確認が出来る頃には1車線のほとんどを塞いでいる為。気持的に10cm位づつ出さなくてはならないのです。また、駐車場等でハンドルを切りながらバックする際には。後ろよりも、左右に大きく振れる長いノーズに気を使いました。そして、急な上り坂の頂上では長いノーズが大きな壁になり。恐る恐る進むか。運を天に任せて、突っ切るかでした。
S30の頃。U君のフェローMAX(当時軽最強と言われていた車)と、小金井の裏道を、よく走っていました。もちろん地元のU君が先導してくれました。しかし、U君は、小さな車体を生かし。狭い裏道を右に左にスイスイと走るのです。私は電柱やゴミ箱を避けながら道幅を、一杯に使い追いかけました。(直線が少ない為、最高50km/h程度なので、ほとんど1速で走るのです。)そして小川を渡る少し高くなった橋では、長いノーズで前が見えなくなる為。U君の車が橋を渡り車1台分通り過ぎた事を確認してから橋を渡りました。路地では、なんとかついていくものの、路地から幹線道路に出る為の安全確認が出来た頃には。U君は、遥か彼方に行っていました。



そんな扱いにくさもある車でしたが。慣れてしまえば。乗る度に感動を与えてくれました。次回からは、湾岸ミッドナイトを見て思い出した。かなり次元の低い話です。