花屋のオヤジのドラテクF 恐怖で身体が固まらないように訓練しよう。



ダメだ!と思った。同乗者の一言 2-1
S30(2シーター)を購入して間もない頃。同学部のT君を送る途中でした。T君が「学生のくせに、こんな車は贅沢だ・・・etc。」と。煩いと思いながら狭い路地を抜け、片側一車線の道に出た途端、“プチッ!”と切れた。1速全開、2速全開で90km/hに達した時、青信号とその先の右側にワンボックスカーが2台路上駐車しているのが見えた。車の後ろから人が出たらヤバイと思ったのに3速へ。次の瞬間、車の陰から自転車に乗った30代後半のオシサンが・・・。急ブレーキ⇒フロントウインドウ一杯に自転車が映る⇒はるかに通り過ぎて止まった。衝撃は無かった気がしたので振り返ると、オジサンはワンボックスカーの後ろで、呆然としてこっちを見ていた。どうもオジサンが逃げてくれたら・し・い。ひとつ間違えたら一生T君を恨んで生きる事になったのでしょうね。



と聞くと、止まるまでブレーキを踏むなんて“ヘタクソ!”と思う人が多いと思います。はっきり言って下手でした。急加速にハンドル操作が加わった途端、横を向く・後ろを向くで、よほど反射神経が鈍いのかと思いました。そんな時、M君が上手にカウンターを当てるのを見て「何で小刻みにハンドルを切るの?」と聞くと、「これはソーイングと言うんだよ。」と教えてくれました。私はハンドルを切り込みながら2・1 2・1と数え、2切り込み1戻すか少し力を抜く(カウンターに備える)ようにし、アクセルとブレーキも踏み込みながら力を抜く(戻す筋肉を働かせる)練習をしました。おかげで、私のような下手くそが、パニックに落ち入っても、身体が固まる事無く。即、反応できるようになりました。(あくまで私は、です。“イニシャルD”ならカメのドラテクでしょうね。



大変お世話になった二人半




真夜中のドライブをしていると必ずと言っていいほど道に迷いました。そんな時に頼りになるのが無線機でしたが、平地からの電波は直ぐに途切れ。困ったなーと思っていると、低い落着いた声で中継と道案内をしてくれる声しか知らない人がいました。高台に住むEさんの電波は強く、関東一円をカバーしていました。Eさんと初めて出会ったのは府中競馬場の脇でした。B君に「脚本を書いている人だよ」と教えられ、声から想像して、中年のオジサンと思っていたら、お兄ちゃんが現れました。そして付き添いの綺麗なお姉さんと思ったら奥様。オマケは子供と知り更にビックリでした。



Eさんの話になると決まって「奥さん綺麗だよね。」という言葉を耳にしました。そんな時私は「そうだね。優しいし可愛いいとこあるしね〜・・・。でも、怖いよ!」と一言付け加えました。それは、B君と私が何かしようとしていると直ぐに気が付き「全くー、あんた達は・・・子供のくせして・・・おとなしくしてなさい!etc」と、よく怒られていたからです。そんな時Eさんは知らん顔で、ひたすら8ミリカメラを構え、娘さんはクスクスと笑っていました。
怒られても仕方ない?事も
無線で知り合った仲間達と初めて上高地に行った時でした。先の見えない曲がりくねった山道で「○○の車が行ったら来ていいよー。」と無線が入ると、一斉に追い越しが始まりました。(追い越された車のドライバーは、大変驚いていました。)しばらくして「いいよ。が対向車来たよ」に変わると、また一斉に左車線に戻りました。(こいつら凄い!と初めて思った瞬間でした。)そんな時でもマイペースだったのがEさん家族でした。上高地に着き、河童橋の上流の橋での出来事でした。X君ととB君が、つり橋が揺れないように横で引っ張っているワイヤーに掴まり二人で譲りあっていました。それを見た私は「そんな事も出来ないのかよ!」と。ワイヤーにぶら下がり川の中央に向かいました。それを見たEさんの奥さんが「こらー!やめなさいー!こらー!危ないー!・・・・!」と。うわー川に落ちるより怖い!と思いながら、中頃まで行くと手の平が痛くなり、中洲に飛び降りました。(2.5m前後)そして、手の平を梓川で冷やしてから再度ワイヤーに飛びつき橋の上に戻りました。東京に戻り数週間後、上高地の8_画像を見せて頂きビックリ。Eさんは、ワイヤーにぶら下がる私をひたすらカメラで追っていたのです。そして、橋の上を走り寄って来たのは、私を心配してではなく撮影する為だった事を知りました。(私は、お尻のポケットから車のキーが出ているのを見て、危なかったと反省しました。)

山陰からの帰り道では。小牧ジャンクションに近づいた時、Eさんが「うちは中央高速で帰るから」と。私達は東名高速なので別れる事になりました。そこで、助手席に乗っていた私は「じゃー手でも振ってやるかー」と言って、スピードメーターを見ると120km/h。サングラスを外し窓を開け車外へ上半身を出し、ドアに座り手を振ったら・・・。
また「こらー!やめなさいー!こらー危ないー!・・・。」と無線機から奥さんの声がした。実は本当に危なかった、着ていたジャンパーの前が半分以上開いていたので風で飛ばされそうだったのです。車内に戻り「また怒られちまったー!」と。そして数週間後。8_を見るとEさんは、ジャンクションのカーブを曲がりながら、しっかり写していた。Eさんは常に周囲に気を配り、どんな小さな事にでも興味を持ち、仕事に結び付けていたようです。