アマチュア無線局JA7HJO 北海道  移動



牧場実習という事で。私は、一週間先に飛行機で北海道へ。T君は、買ったばかりのサニークーペ1200GXで仙台から苫小牧へ。迷子にならないように。私は、携帯用のトランシーバーを持ち、T君は車載用のトランシーバーを積んで待ち合わせの苫小牧駅へ。小さな駅だったので無線機は必要ありませんでした。そして北海道一周の旅へ出発しました。




襟裳岬を経て阿寒湖へ、給油の為ガソリンスタンドへ行くと。若い兄ちゃんが二人現れ、親しげに「アマチュア無線やってるの?」と。私「はい。」と言うと。顔つきが変わり「アマチュア無線をやっている内地の奴はドロボウするからなー。親切に泊めたりすると、テレビやラジオまで盗んで行くんだよ。」と言われました。
普通に考えれば。アマチュア無線局のコールサインは電話番号みたいなもので、電話帳のような物もあり。直ぐに住所、氏名、生年月日等が判るようになっているので。悪い事をするには自分のコールサインは使えないし。自分の車(例えば福島ナンバー)では直ぐに捕まるし、当時内地に戻るにはフェリーしか無かったので。自動車+アマチュア無線でのドロボウは、かなり難しかしく思え。本当に内地の人間がドロボウをしたのか?かなり疑問でしたが。T君の希望もあり、大事を取ってアンテナを外す事になり、無線機の使えない(地元や旅行中の無線局からの情報を得られない。旅行になりました。



知床五湖からの帰り道。新車をいたわりながら走る私達を元気に追い越して行った車がいました。T君が「あいつらヤバイそ!」と。私が「何で?」と言った途端、200m位先で砂埃が上がりました。近づくにつれて、砂埃が薄れて見えたものは。路肩で裏返しになったブルーバードUでした。幸い乗車していた4人は無事で、窓から這い出して来ました。車を道と並行にする為、車を回すと屋根がゴリゴリゴリと。そして、皆で車をゴロン、トスン!と元に戻しました。彼らは大阪から来たとの事で。これで、また大阪まで帰るのかと思うと、大変気の毒でした。



写真は、多分。知床あたりと思います。「北海道では動物が飛び出すので気をつけて。」と言われましたが。私は海に落ちそうになりました。それはサロマ湖から稚内に向っている時でした。宿が決まらないまま夜になってしまい、少し焦っていたのかもしれません。ゆるいコーナーを曲がるとY字路があり。左は山の中、右は太い矢印で○○港。と表示してありました。(山の中より、港街が良いと)右にハンドルを切ると。高く積まれた木箱が道の両側に沢山あり。(何か変な所だな?と思っていると。)突然ヘッドライトの光が消えたのです。

不思議に思い停車。いきなり止まったので。助手席で寝ていたT君が「どうした?」と。私「道が無いんだけど。」と。しばらく二人で回りを見渡しているとT君が前を指差して「海た、海!」と。私は背伸びをして前を見ると。3m位先が岸壁で。2m位下に水面が見えました。一瞬、判断が遅れたらT君の新車を海に落とすところでした。私は「いきなり海なんて危ないよなー、何か置いておけよ!」と言って元の道に戻りました。福島に帰ってTVを見ていると。ニュースで白のチェリークーペがクレーンで、海から引き上げられている様子が映っていました。地名を見てビックリ!私が落ちそうになった所でした。即T君に「俺が落ちそうになった所で、落ちた車がいたよー!」と。(あれは、標識が悪い!と強調しました。)




礼文島にて

1ヶ月間、北海道にいて。女の子のお友達は、たった4人でした。B君がいないと、こんなものです。



実習中は友達がいて遅くまで付き合わされ。T君との旅行は。行きたい所まで行き、好きなだけいる。という旅行だったので。夕方宿を探し、食事をして風呂に入ると疲れて寝てしまい。(宿が見つからない時は、車の中で寝ました。)その為、手紙を書く余裕が無かったのです。北海道を、ほぼ一週して函館に戻るのに約3週間かかり。1ヶ月間の疲れと、沢山の人との出会いと別れの為。家が恋しくなった私の希望で福島に帰る事になりました。




北海道から乗ったフェリーーを降りる際に。アマチュア無線のアンテナを立てた、スカイライン2000GT HTと出会い直ぐに友達になりました。私は、運悪くスタンドでイヤミを言われアンテナを外していましたが。言いたいヤツには言わしておけと。無視すれば、また違った旅行になったかもしれません。




青森県の仏ヶ浦

一ヶ月間いろいろな事がありました。海に落ちそうになったのは危ない事でしたが。実習最終日が最悪の日でした。それは、ホテルの広間での夕食が終わり寝転がっている時でした。酒を飲んでいたのかステージの上に10人位の男女が集まり、一人が裸踊りをしていたのです。私は、男の裸なんて見たくないと無視していました。しばらくすると静かになり突然、数人が駆け寄る足音がしたのです。何かと思い振り向くと。6〜7人に囲まれ、一人の手が私のズボンのベルトに掛かりました。(服を脱がされる!)と思った途端“プチッ”と切れたのです。横がら押さえに来た奴の頭を捕まえてプロレスのヘッドロックをかけて。周囲の奴らを蹴飛ばしていると。「やめろ!やめてくれー!もう何もしないから放してやってくれー!」と言われ、我に返り。周囲を見渡すと私の仲間も集まっていたので。ゆっくり手を離すと。さっきまで裸踊りをしていた兄ちゃんが涙を流していました。メガネごとヘッドロックをかけて暴れていたので相当痛かったらしく悲鳴を上げていたようです。でも必死に抵抗していた私は全く気が付きませんでした。私は、畳で腕がこすれ出血していたので、直ぐに別室に連れて行かれ。手当てを受けました。後で広間の前を通ると、さっきのグループはステージの上で静かに酒を飲んでいるようでした。手当てをしてくれた同学部のT君に「おまえ見た目より強いんだな。」と言われ「あと10秒長引いたら力が尽きてたよ。」と。そんな事、無線の事、そして旅先での出会いは直ぐに別れが来る事を知った、空しさの残る旅だったのです。

T君は、私より1週間少なかったので、物足りなかったらしく。翌年また行ったようです。